明治２年正月の京都に，新しい自治組織である「番組」（町組）が誕生すると，日本で初めての６４校の小学校の建設が，番組ごとにはじまりました。日本の都でなくなる危機感を，京都の町衆は「小学校」開校という大事業に変えたのです。
　明治維新の混乱期に，一斉に開校した６４校の番組小学校は，誇りある町衆の拠り所でした。そして，この小学校を愛するエネルギーは，今もなお，時折あふれ出て私たちを驚かせますが，一方で，このエネルギーが消えつつあるのも事実です。地域社会が教育に関わる意義に注目があつまる今，明治より現在に伝えられた６４校すべての遺物を一斉に公開し，１４０年前の京都の町衆の，小学校創設のエネルギーの強大さを感じていただく展覧会となれば幸いです。